夏の髪は汗を大量にかくことでべたつき、頭皮にもかゆみがでるなどヘアトラブルが多いものです。暑さや紫外線などさまざまな原因によって、夏から秋にかけては抜け毛の本数が通常時の2~3倍に増えると言われています。
夏だから仕方ないと諦めてはいけません!夏の抜け毛を引き起こす原因を知り正しく対処しておくことで、髪の夏疲れを秋に持ち越すこともなくなります。
ファッションの秋を楽しみたいあなた、夏疲れによって髪年齢を進めたくないあなたに是非知っておいていただきたい夏のヘアケアのポイントをご紹介します。
夏の抜け毛が起こる原因
夏の抜け毛を防ぐ為には、その原因を知っておくことが大切です。夏の抜け毛を誘発する4大原因をご紹介します。
夏の抜け毛は紫外線が原因
まず1つ目はお肌に天敵である紫外線です。
夏のじりじりと照り付ける日差しは日本人の黒い髪を高温にさせ、長時間外にいると頭皮が真っ赤になり日焼けすることもあります。これは紫外線が髪の毛だけでなく頭皮にもダメージを与える為です。
紫外線は髪を守っているキューティクルを剥がし、髪内部の水分や油分を流出させます。髪の毛は3層構造になっており、最も外側にあるのが魚のうろこ状のキューティクルです。キューティクルがあることで水分や油分が保持され、毛髪のハリやコシが維持できています。これらが流れ出すと髪の毛はパサつき傷んできます。
また紫外線により髪の色を作るメラニン色素が破壊されると、髪の色が赤茶けたり脱色も引き起こします。色素が作られにくくなると白髪も生まれやすくなります。
頭皮が紫外線を浴び続けると、頭皮のシミ・シワ・たるみを作る光老化にも繋がります。光老化は紫外線が頭皮の皮膚細胞にまで入り込み細胞を破壊することで、頭皮を硬くさせます。頭皮が硬くなるとその中を通る血管が圧迫され血行不良が起こります。そして髪の毛を作り出す毛母細胞に十分な栄養素も行き渡らなくなり、抜け毛が促進されるのです。
夏の抜け毛は冷房による乾燥が原因
2つ目の夏の抜け毛の原因は暑さをしのぐエアコンによるものです。
1日中冷房が効いた部屋の中でいると喉が痛くなることありませんか?これはエアコンが冷たい風を放出する際に、部屋の中の熱と湿度も吸い込んでしまう為です。これによってのどの粘膜が乾燥して痛みが出ます。
同じように頭皮の水分も失われます。特に乾燥肌の方は、冷房の効いた部屋で長時間いると乾燥が顕著に表れます。頭皮を含め皮膚には60~65%程度の湿度が最適だと言われます。しかし、冷房をかけていると湿度は50%を切ります。
頭皮の乾燥はフケや痒みとともに血行不良を招き、髪の成長を妨げ、抜け毛が増えるのです。
また室内外の温度差は毛穴の皮脂詰まりを生みます。外に出ている時は汗をかいていますが、冷房が効いた部屋で急激に冷やされ乾燥することで毛穴に溜まっている皮脂が固まりやすくなるのです。そして毛穴の皮脂つまりも抜け毛へと繋がります。
夏の抜け毛は暑さによる睡眠不足が原因
3つ目の夏の抜け毛の原因は睡眠不足です。
暑い夏は寝苦しく睡眠不足になりがちですね。このことは夏バテに繋がるだけでなく、抜け毛も引き起こします。
睡眠リズムは深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠が繰り返されています。双方のバランスが保たれないと身体の疲れが取れないばかりか睡眠の質が落ちます。
髪の毛は眠っているときに成長します。成長ホルモンが分泌されることで細胞分裂が活性化し毛母細胞の細胞分裂も活発化するのです。
成長ホルモンの分泌は22時~2時がピークだと言われますが、それ以外の時も分泌されます。ポイントとなるのが眠り始めの30分~3時間です。この時間帯に何度も目が覚めたり、寝苦しさから睡眠リズムが崩れると髪の成長に支障をきたし、抜け毛が増えやすくなります。
夏の抜け毛は夏バテによる栄養不足が原因
4つ目の夏の抜け毛の原因は髪の栄養不足です。
暑い夏は食欲不振になり、冷たいおそうめんや火を使わない簡単な料理になりがちです。しかしこのことは栄養バランスの偏りを生むと同時に栄養不足にも繋がります。身体全体の栄養摂取量が減少すると、髪に行き渡る栄養も当然のことながら減少します。結果、髪の毛に栄養素が行き渡らないことで、髪が細くなり抜けやすくなります。
ちなみに髪を育てるのにはタンパク質、ビタミン類、亜鉛の三大栄養素が欠かせません。
タンパク質は髪の主成分であり、その割合は99%にのぼります。摂取したタンパク質は吸収されないと意味がなく、その吸収を助けるのがビタミン類です。またビタミン類は、頭皮の乾燥を防ぐ、細胞を活性化し育毛に繋げる、抗酸化作用で抜け毛を防ぐ働きも持っています。そして亜鉛は髪の主成分であるタンパク質「ケラチン」を作り出すのに欠かせない栄養素です。
夏の抜け毛を防ぐには三大栄養素に加えてバランスよく栄養を取っていくことと、その栄養が髪に届けられることです。その為には、冷たい食べ物ばかりを食べて身体を冷やしてしまうのはNGだということも知っておきましょう。
夏の抜け毛は髪の夏バテ
暑い夏に身体が夏バテをして体力不足になるのと同じように、髪の夏バテを起こします。その結果が抜け毛なのです。
一時的な物だと安心してはいけません。放置することで本格的な薄毛を生む可能性もある為、髪の夏バテ状態を正しく理解しましょう。
気温の高さは頭皮の熱交換を阻害する
人間の身体は外気温に左右されず常に体温を一定に保つ工夫がなされています。その為、気温が高くなると汗を出し、汗の蒸発と同時に熱も放出して体温を下げます。
しかし外気温があまりに高すぎると汗として出す水分も追いつかなくなり、軽い脱水症状が起こり熱交換に支障をきたします。また集中力を要する仕事や考えることが多いと脳内にも熱がこもり、のぼせ状態が生まれます。
オフィスなど冷房が効いた部屋で長時間過ごしていると夏でも寒く感じるものです。身体は寒いと感じると、毛細血管を収縮させることで血流を流さないようにすることで熱の放出を防ぎ、体温を保ちます。つまり、外は暑いにもかかわらず身体は体温を上げようと働き、体温を上げた状態で外に出るので今度は体温を下げようと大量の発汗を行います。
このような急激な熱交換が繰り返されることで、頭皮環境が悪化し抜け毛を増やします。
夏の汗は頭皮環境を悪化させる
夏にかく汗も頭皮環境を悪化させる要因です。
夏は大量に汗をかくのと同時に、皮脂も大量に出やすくなります。汗は蒸発されれば問題ありませんが、皮脂は頭皮の毛穴の上に残ったままです。そこに夏の厳しい紫外線があたると皮脂が酸化し毛穴詰まりを起こすのです。また湿度も高い為、雑菌も繁殖しより頭皮環境は悪化します。
夏の抜け毛が気になる女性は紫外線を遮断せよ
夏の抜け毛を防ぐためには頭皮に浴びる紫外線を遮断することが欠かせません。有効な紫外線対策をご紹介します。
帽子や日傘の活用で紫外線予防
紫外線を遮る為に利用したいアイテムは帽子や日傘です。
帽子は頭皮をすっぽり覆うので、紫外線を通さないUVカットの生地であれば紫外線を避けられます。ただし1つ問題点は長時間の使用による頭皮の蒸れです。帽子を長時間かぶると熱が頭皮と帽子の間でこもり汗をかきやすくなる為、定期的に帽子を脱いで頭皮の汗を蒸発させる必要があります。もし汗をかいていた時はハンドタオルなどで軽く抑えるようにして汗を吸い取ってください。
日傘は遮光率99%のものか完全遮光のものがおすすめです。また日傘の外側の色は気にする必要はありませんが、内側の色は白を避けましょう。アスファルトからの照り返しを吸収するのを防ぐためです。
また髪に分け目をつけている方は時々分け目を変えることをおすすめします。常に同じ場所に紫外線があたるのを防ぐためです。
頭皮に日焼け止めスプレーで紫外線を防ぐ
紫外線を最大限に遮断する為に、頭皮の日焼け止めスプレーの使用も有効です。
顔や身体に塗る日焼け止め同様に、クリーム、パウダー、ローションなどもありますが手軽な方法がスプレーです。スプレータイプは汗で流れにくいというメリットがある反面、紫外線吸収剤が含まれていることが多く、敏感肌の方は刺激になることがあります。
ムラなくしっかり塗る為には、クリームやローションがおすすめです。手のひらに一度取り、伸ばした後に押さえるようになじませます。日焼け止めは多く塗ったからと言って効果が高くはなりません。塗りすぎは頭皮の皮膚呼吸を阻害しますので2~3時間ごとに塗り直しをする必要があります。
また日焼け止めを落とす際は、専用クレンジングの不要なものがほとんどですので泡立てたシャンプーで洗い流してください。
夏の抜け毛が気になる女性の「まごわやさしい」食事を
夏の抜け毛が気になる女性は髪を育てるのに欠かせない食事を見直すことも大切です。食事療法やダイエットにも用いられる「まごわやさしい」食事が有効です。
「まごわやさしい」食事が抜け毛の効果的な理由
「まごわやさしい」食事は食品研究家であり医学博士でもある吉村裕之氏が考案した食べ物の一覧です。それぞれの食べ物の頭文字を取って「まごわやさしい」という名前がついています。
夏の抜け毛は夏バテによる栄養不足が原因であるとご紹介しましたが、髪に必須の三大栄養素のみを取るだけでは不十分です。しかしバランスの良い食事と一言でいってもそれを実践するのはかなりの栄養学的知識が必要となります。
そこでバランスよく栄養を取る為に押さえておきたい栄養素を網羅した「まごわやさしい」食事です。これを基本にメニューを考えると簡単に抜け毛の予防ができます。
「まごわやさしい」食事には、植物性及び動物性タンパク質、頭皮の酸化を防ぐ抗酸化栄養素、ビタミン類、食物繊維などがすべて網羅されています。
夏の抜け毛にお勧めの食材
では、夏の抜け毛にお勧めの「まごわやさしい」食材をご紹介します。
1.「ま」は豆
大豆は畑のお肉と言われ、髪の主成分であるタンパク質が豊富に含まれています。また大豆には新陳代謝を促進するマグネシウムが含まれており、頭皮の新陳代謝をサポートすることで抜け毛予防が可能です。
2.「ご」はゴマ
ゴマには血行促進効果を持つビタミンEがたっぷり含まれています。頭皮の血行が良くなれば十分な栄養素が行き渡るので抜け毛を防ぐことができます。
3.「わ」はワカメ
ワカメにはカルシウムとミネラルが豊富に含まれています。カルシウムは血液の元となるので頭皮の血行促進に欠かせません。ミネラルは髪を作る細胞の成長を促進することで艶のある髪を作り出します。
4.「や」は野菜
野菜には食物繊維、そしてビタミン・ミネラルが多く含まれています。ビタミンは頭皮の環境を防ぎ、ミネラルはワカメと同様に細胞の成長をスムーズにします。
5.「さ」は魚
魚の中でもオメガ3を含んでいる青魚がお勧めです。オメガ3は血行促進により頭皮環境を整えます。
6.「し」はしいたけ
しいたけにはビタミンDが豊富に含まれています。ビタミンDが抜け毛防止につながる直接的な理由はまだ解明されていません。しかしカリフォルニアで行われた動物実験でもビタミンDを投与したマウスに髪の成長が確認されています。
7.「い」はイモ
イモに含まれるビタミンCは皮脂の酸化を抑えることで頭皮環境を整えます。
夏の抜け毛は水分補給で解消しよう
夏の抜け毛を解消する為には、汗で蒸発しやすい水分をしっかりと取ることも非常に重要です。
こまめな水分補給で頭皮を元気にしよう
血液の50%は水分なので、水分不足なるとドロドロ血液状態が生まれます。それにより血行が滞ると頭皮に栄養が届けられません。
そこで血行促進をはかる為にも水分補給をしっかり行い頭皮を元気にする必要があります。身体全体で考えると3リットル程度の水分摂取が必要ですが、食べ物に含まれている水分などもある為、水分としては最低1リットルを補給できるようにしてください。
1日1リットルの水分補給を可能にするアイデア
水分補給を行う際に一度におおく取るのはあまり意味がありません。冷房による乾燥は1日中続く為、適量を分けて摂取する必要があります。
1.朝目覚めて直ぐ・・神経や内臓の働きを目覚めさせ活発にさせる
2.仕事もしくは家事前・・細胞を活性化し、効率アップと集中力を高める
3.昼食時・・食べ物を消化する胃腸を刺激し消化機能を高める
4.休憩時・・心身の疲れを取り、リフレッシュさせる
5.運動の前後・・汗の補充
6.夕食前・・食べ物を消化する胃腸を刺激し消化機能を高める
7. 入浴前後・・汗の補充
8.就寝前・・寝汗の補充
これら以外でも喉が乾いてから飲むのではなく、乾く前に飲むようにすることが大切です。
夏の抜け毛はレジャーからも起こる
夏の抜け毛を引き起こす原因は海やプールなどのレジャーでも起こります。海やプールから出た後の正しいヘアケアを知っておきましょう。
海水を浴びた髪のケア法
海水はアルカリ性であり髪は弱酸性です。そして髪の毛はアルカリ性の水に浸かると髪を守っているキューティクルが開きます。その為、髪の中の栄養分が溶け出しパサついてしまうのです。またキューティクルが開いた髪が紫外線を浴びると細胞破壊がより強くなります。
そこで海からあがった後はできるだけ早く海水を洗い流してください。そしてその後にシャンプーを行い、トリートメントでキューティクルに栄養分を与え閉じていくことが大切です。
プール後の髪のケア法
プール後の髪は塩素剤によって傷められます。塩素剤もアルカリ性なので海水同様にキューティクルを開きます。そこで、シャワーを使ってしっかりと洗い流すことが何よりも大切です。
海やプールの後はシャンプー前にレモン水を使用し、アルカリ性の髪を酸性に傾ける方法もあります。
500mlのペットボトルに水道水と5分の1程度のレモン果汁を絞り混ぜ合わせます。それを髪の毛になじませるだけで、パサつきが消え指どおりが改善されますよ。レモン汁は多すぎると逆に髪を傷めますので適量以上の使用は避けてください。
まとめ
ご紹介した通り、紫外線、汗、睡眠不足、栄養不足と夏は髪を傷める要素が非常に多く存在します。しかしこれらを回避することができれば、夏の終わりに髪がパサパサで乾燥しているということはなくなります。
面倒だと感じるのではなく、これらを取り入れることで美髪に近づくと思ってケアしてくださいね。