抜け毛が増えると、もしかして薄毛になってしまうのでは?と心配になってしまいますよね。その為、抜け毛をまじまじと観察してしまう方も多いのではないでしょうか。
髪の毛にも寿命がある為、抜け毛があることは決して問題ではありません。しかし抜け毛の中には危険な抜け毛も潜んでいます。
今回は簡単にできる抜け毛の毛根診断法をご紹介します。
抜け毛の種類
では、抜け毛の種類についてご説明します。
自然脱毛とは?
自然脱毛はヘアサイクルの自然な流れの中で抜ける脱毛ですので問題はありません。一般的に1日に自然脱毛する毛髪は50~100本程度と言われています。
ではヘアサイクルについて簡単にご紹介します。私たちの髪には3つのヘアサイクルが存在します。毛母細胞が細胞分裂することで新しい毛髪が生まれ、どんどん成長する「成長期」、髪の成長が止まる「休止期」、そして髪が抜け落ちる「退行期」が4~6年の期間をかけて1サイクルで動いています。
個人差はありますが、人間の髪の毛は約10万本生えており、そのうち1%が「退行期」の髪であり、自然脱毛しているのです。
ちなみに自然脱毛した毛根はマッチ棒の先のように丸く膨らんでいます。
異常脱毛
異常脱毛とはヘアサイクルでいうと、「成長期」であるはずの髪の毛もしくは成長が止まっている「休止期」の髪の毛が抜けることを指します。
異常脱毛が起こる原因はヘアサイクルの乱れですが、ヘアサイクルが乱れる原因は実にさまざまです。
1つ目は過度なダイエットや栄養バランスの乱れにより、髪の毛に十分な栄養が届けられない事です。
2つ目は身体に栄養は入ってきているけれど、冷え性や頭皮が硬くなることで血行が悪くなり、毛母細胞に栄養が届けられないケースです。またストレスも、交感神経により血管が収縮するので血行の悪化に繋がります。
異常脱毛の原因は抜け毛の毛根の形を見ることで明らかにすることが出来ますので、次章で詳しくご説明します。
抜け毛の原因は毛根で診断可能
では抜け毛と毛根について、そして異常脱毛時の抜け毛のサインについてご紹介します。
正常な抜け毛には毛根がある
枕についている髪、髪をかきあげたときに抜け落ちた髪の毛根を良く見てください。正常な抜け毛には毛根があり、マッチ棒の先のように膨らんで見えるでしょう。
もう1つの確かめ方は、指で毛根部を触ってみることです。抜け毛の中央あたりから毛根に向けてゆっくりと指先を沿わせていきます。
目を閉じ、利き手と逆の親指と小指に抜け毛を挟んで試してみて下さい。普段あまり使わない小指を使うことで、より分かりやすくなります。
目で見て試す場合、どのぐらいが正常な抜け毛なのか例がないと分かりにくいですね。そこでインターネットなどで自然脱毛の毛根と見比べてみて下さい。
ただし毛根の太さにも個人差がありますので一概には言えない部分もあります。そこで、ご自身の毛根を写真で撮っておくと変化が一目瞭然です。
抜け毛に毛根がないのは要注意!
毛根がない抜け毛は非常に危険度が高い状態です。毛根の状態は栄養状態を表し、毛根がないという事は栄養不足で抜け落ちた髪の毛であることを意味します。
円形脱毛症によって抜けた毛髪の毛根は、毛根の萎縮が目立ちます。本来膨らみがあるはずの毛根が先に行くほど細くなり、時に先に白い油状のものが付着していることもあります。
これらがさらに進行すると、毛根がない難治性円形脱毛症となります。
一方、毛根に透明の膜のようなものがある場合は問題ありません。
これはブラッシングなどで毛髪が無理やり引き抜かれ、毛根鞘が一緒に抜けたものです。毛根鞘は、髪の毛と頭皮を繋ぐ役割をしている部位で、取れてもまた再生します。
ただし、抜毛症など自分で無理やり髪の毛を抜く癖がある方は注意が必要です。無理やり髪が抜かれ続けることで頭皮の奥にある毛母細胞が傷つき、髪が生えなくなることもある為です。
抜け毛の毛根が白い時は?
毛根が白いと白髪になる前兆かもしれないと不安になりますね。しかし、毛根が白い抜け毛は心配することはありません。
これは髪の毛が生まれ、黒くなるまでの段階を知れば明らかになります。
頭皮の下で毛母細胞から髪の毛が生まれたときは、毛髪は黒色でなく不透明な状態です。成長段階で、髪を黒くするメラニン色素が毛根から吸収されることで黒くなるのです。
メラニン色素は毛根から毛先まで送り届けられなくてはいけない為、最終的に毛根部分にはメラニン色素がなくなり白くなるのは仕方ないことです。
毛根が白い抜け毛は問題ありませんが、白い塊が付着している場合は注意が必要です。この白い塊は毛穴に皮脂や汚れが詰まっていることを意味し、皮脂の過剰分泌の可能性があります。
現状は特に異常を感じなくても、頭皮トラブルを引き起こし抜け毛に繋がる予兆ですので注意しておいてください。
抜け毛の毛根が黒い時は?
黒い毛根はヘアトラブルの可能性があります。
髪の毛が頭皮から出てくるタイミングでは既に髪の毛は黒い状態です。つまり毛根にメラニン色素が残り、黒くなっているはずはないのです。
にもかかわらず毛根が黒い場合は、メラニン色素を作っているメラノサイト細胞の異常が疑われます。
メラノサイト細胞は、神経細胞に似た働きを持っていることから、非常にストレスに弱いという特徴があります。
またストレスが溜まると交感神経が優位となり、血行が阻害され、毛根に栄養が送り届けられなくなり、メラノサイト細胞の働きが鈍くなるのです。
あなたの毛根が黒い時は、ストレス過多になっていないか見直してみて下さい。
抜け毛の毛根が短くて細い時は?
最後に抜け毛の毛根が細く、短くなっている場合にはどんなケースが考えられるのでしょうか?
1つ目は栄養不足です。毛根は栄養を蓄えておく備蓄庫の働きもある為、そこが細く短いという事は栄養ストックがないことを意味します。つまり髪の毛は餓死状態で抜けてしまっているのです。
2つ目は頭皮が硬くなっている為です。頭皮が硬くなることで、毛根が本来の位置よりも頭皮側に押し上げられて抜けやすくなっていることが考えられます。
通常、新しい髪の毛が下に生まれると、生えている髪の毛が上に押し上げられますが、頭皮が硬くなることでも同じことが起こります。
抜け毛の毛根セルフチェック
問題のない抜け毛、危険な抜け毛の例をご紹介してきましたが、今度は抜け毛の進行度をセルフチェックしていきましょう。毛根は細い部位なのでルーペや拡大鏡などで確認してください。
抜け毛進行度0
毛根の色は白、先の形状はマッチ棒のように丸く膨らんでいる状態は、抜け毛進行度0です。自然脱毛による本来の毛根の形状であるため心配することはありません。
しかしここで安心せず、今度は髪の毛先を確認してみて下さい。全体的に均一な太さを保っていれば合格点です。
一方毛先が細くなっている場合は、栄養が十分に行き届いていないことが考えられます。
抜け毛進行度1
毛根の先の形状はマッチ棒のように丸く膨らんでいるが、細い髭のようなものが見えるのは、抜け毛進行度1です。
まだ髪の毛が伸びようとしているヘアサイクルの成長期の途中で抜け落ちた髪の毛であるサインです。この場合、毛根が頭皮にしっかりと根を張れていない可能性があります。
毛穴に皮脂がつまっている可能性がありますので、頭皮環境の見直しが必須です。
抜け毛進行度2
毛根部分が鋭く尖っている抜け毛、ボコボコしている場合は抜け毛進行度2です。
毛根部分が鋭く尖っている抜け毛は、内臓は免疫に関する病気で抜け毛が起こっている可能性があります。
円形脱毛症もその原因の1つです。またストレスにより血行が滞ることでも引き起こされます。
毛根がボコボコしている抜け毛は、毛根周りに皮脂汚れが付着している脂漏性脱毛根であることが考えられます。洗浄成分の強いシャンプーによる皮脂の過剰分泌や、脂っぽい食事などが原因としてあげられます。
早急にヘアケアの見直しが必要となります。
抜け毛進行度3
毛根にふくらみがなく、ほぼまっすぐになっている抜け毛は抜け毛進行度3。かなり深刻な状態です。
抜け毛が慢性化している毛根は、委縮しているだけでなく、太い部位と細い部位があるなどいびつな形状の毛根となっています。
これは発毛力が低下していることを意味し、自己判断による頭皮ケアでは抜け毛を防ぎきれないこともあるので注意が必要です。
抜け毛の原因とメカニズム
最後に抜け毛の主な原因に着目し、抜け毛に繋がるメカニズムについてご紹介します。
抜け毛とストレス
10円ハゲや一時的な円形脱毛症に多い抜け毛はストレスによるものです。
ストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れます。自律神経は交感神経と副交感神経からなり、ストレスを感じると交感神経が優位となり血管が収縮し血行が悪くなります。
血行が滞ると、栄養分が頭皮や毛根に届けられなくなるので髪が弱くなり抜けやすくなるのです。
また血行を促進させようと男性ホルモン「テストステロン」が多く分泌されはじめます。「テストステロン」は毛髪を作り出すたんぱく質の生成を邪魔する為、抜け毛が増えてしまいます。
さらにストレスを感じると、体内では亜鉛が大量に消費されます。亜鉛は、髪の材料となるたんぱく質の合成に欠かせない栄養素であるため、不足すると髪の成長を阻害するのです。
抜け毛とホルモン
ホルモンバランスの崩れも抜け毛を引き起こす原因です。女性ホルモン「エストロゲン」には水分や栄養分を溜め込み、毛髪の成長を促しコラーゲンを作り出す働きがあります。コラーゲンのおかげで毛髪が太くコシや艶のある髪の毛が維持できています。
ストレスや夜更かしなどの生活習慣の乱れにより女性ホルモンのバランスが崩れてしまうと、全体的な髪のボリュームが減る女性ならではの抜け毛が進行してしまいます。
抜け毛と食事
最後にご紹介するのは食事と抜け毛との関係性です。
毛髪の材料の80~90%はケラチンタンパクです。じゃあたんぱく質をしっかり取ればいいのかといえばそれだけではありません。
たんぱく質を食事からとってもそれをしっかりと吸収してくれるビタミン類がないと意味がありません。
また、吸収されたケラチンタンパクが合成させる働きを担っている亜鉛も欠かせません。
このたんぱく質・ビタミン類・亜鉛の3大栄養素をバランスよく摂取していくことで、頭皮環境も整います。つまりこのどれが欠けても育毛環境は崩れてしまいます。
偏った食事やダイエットのしすぎは、髪のパサつきや栄養不足から抜け毛を促進します。
まとめ
あなたの毛根はいかがでしたか?抜け毛の多さだけでは髪の危険度は測りきれません。
髪がパサついたり、ボリュームダウンを起こす前に、日頃から抜け毛の毛根チェックを行うようにしましょう。
最初は少し分かりにくいかもしれませんが、毎日見ているうちに毛根の変化に気付けるようになるはずです。
出来るだけ早期にSOSを感知し、抜け毛の原因を取り除くことで薄毛の進行を食い止めましょう。